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【私を支える魔法の言葉】
失敗することより、何もしないことを恐れろ

シンガーソングライターの大垣知哉が「今、会いたい輝く女性」を取材し、人生の支えになった大切な言葉とストーリーを綴る「魔法の言葉」を連載。

株式会社クレーる 代表取締役 松尾 裕美さん

(取材日:令和2年3月)

 まつお・ひろみ 1973(昭和48)年3月27日生まれ。奈良市立一条高校少林寺拳法部に所属。高校在学中にアメリカ留学。その後、金蘭会短期大学に入学し、卒業後にアメリカ留学。帰国後に貿易会社に就職し、23歳のときに独立。東京原宿でジャエリー会社「ホワイトバード」を設立。2000(平成12)年に奈良の生活情報誌「クレーる」の創刊に関わり、2010(同22)年に「株式会社クレーる」を設立。奈良で生活情報紙を発行しながら奈良のイベントに積極的に関わり、地域貢献に尽力する。


失敗することより、何もしないことを恐れろ =やらないで後悔するのは一番良くない。失敗さえ人生の肥やしになるのだから。


 「2週間後にこの会社は解散する。もし君が社員を連れて別会社としてやるなら、情報誌『クレーる』の営業権を売ってもいい」そんな社長からの申し出に、最初は戸惑いを隠しきれませんでした。なにせ、サンフランシスコで次女を出産し、奈良に帰ってきた早々の出来事でしたから。しかし、社員は一丸として「クレーる」の存続を願っていました。その思いに背中を押されるように、私は独立を決意。それからの2週間は怒涛でした。

《写真左》次女をカルフォルニアで出産(2008年)。この直後に株式会社クレーるの代表取締役に就任《写真右》松尾さんの誕生日を祝う株式会社クレーるの皆さん(2019年)


  「私が引き継ぐなら、読者のためにも、お客さんのためにも、絶対に発行を途切れさせない。」一心不乱にことを進め、2週間以内に新しい会社を立ち上げ、引越し先を決め、ネット環境を整え、発刊まで進めました。当然、赤字からの出発で、軌道に乗せるのは大変だったけれど、この転機が社員全員の思いを高め、その後の原動力となりました。
 「クレーる」を発刊する上で、私が大切にしたのは「末端まで血を通わせる」ことでした。「クレーる」は各家庭や各事業所にポスティングで届けるシステムで、それまでは予算や効率を考え、大手配達業者を使い、「メイトさん」と呼ぶポスティングスタッフ宅へ運んでもらっていました。
 愛情を込めて作った誌面を思いの伝わらない人が扱い、例えば捨てられたり、ひん曲げられたりするなんてたまらない。だから、ポスティングしてくれる人にも思いを通わせたいと思い、自分たちで朝早く起きてメイトさん160人のもとに直接届けるようにしました。
 その結果、メイトさんの顔を覚え、仲良くなることができました。仲良くなるとやはり思いは伝わるもので、メイトさんたちは、ただポスティングをするだけでなく、新たな配布先の提案や誌面に有効な情報をくださるようになりました。まさに社員とメイトさんが一体になって、「クレーる」を作り上げていくことができたのです。そして、今年3月で、創刊21周年を迎えます。
 私が「クレーる」に初めて関わったのは長女が生まれたばかりの頃で、一人で子育てをしないといけない状況にありました。しかも、当時は女性が活躍できる仕事が少なく、子どもを持つママとなるとなおさらのことで、その条件に合った唯一の働き場所が「クレーる」だったんです。
 だからこそ当社では、理念として「女性が働きやすい場を作る」を掲げ、女性が活躍できる環境を提供しています。さらに社員全員、終身雇用できる会社を目指しています。女性が社会で活躍できれば、家庭に固執することなく、広い視野で家族と接することができます。実際に当社で働く女性はみんな、仕事で活躍でき、家庭も円満なんですよ。
 「やらないで後悔はしてはいけない。きっと失敗も肥やしになるのだから。」壁にぶつかるたびに、支えてくれる多くの人が私にそう教えてくれました。「クレーる」に入社した時も、前社長から「クレーる」を引き継いだ時も、その言葉がいつも私の中にありました。昨年立ち上げたスマートフォン用アプリ「クレぽん!」を制作したときもそうです。大きなリスクがありましたが、一年も経たずに1万ダウンロードを達成しました。すべて、良い結果へとつながっているのです。 
 それは、私が正解の道を選んだのではなく、選んだ道はすべて正解にたどり着かすということなのです。だから、私はやれることを全力でやりたい。ただ時間は待ってくれません。刻々と過ぎる時間の中で、「今」が一番若く、エネルギーがあふれています。だから、やりたいことを迷わずにやる。それが今までの私の根底にあり、これから私を支えていくのです。


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