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【私を支える魔法の言葉】
悩むより、まずはやってみる

シンガーソングライターの大垣知哉が「今、会いたい輝く女性」を取材し、人生の支えになった大切な言葉とストーリーを綴る「魔法の言葉」を連載。

保護司/元奈良県自治連合会長 藤堂 宏子さん

(取材日:令和元年6月)

 昭和27(1952)年生まれ。奈良市出身。奈良教育大付属小・中校を経て、奈良女子高等学校、奈良女子大学へ進学。大学卒業後、高校教師として従事し、その後、塾の講師を務める。結婚後は夫の転勤により各地に転居し、平成4(1992)年に生駒市に住居を構え、子供3人を育てる。子どもが手を離れたことをきっかけに自治会活動に参加し、平成19年に生駒市北地区治連合会会長に就任。その後、平成21(2009)年に生駒市自治連合会会長、平成28年には奈良県自治連合会長を務める。これまでの功績が認められ、平成30(2018)年12月に総務大臣表彰を受賞。現在、生駒市北地区治連合会顧問、保護司、生駒警察署少年補導員、ひかりが丘自治会顧問を務めている。


悩むより、まずはやってみる=人生は一度きり。できるかできないかを悩むのではなく、まずはやってみることから始めることが大切。


  「地域に貢献したい…」なんておこがましい気持ちはありません。ただ、たくさんの方と出会いたい。そして、いろんな考えに触れることで自分の視野が広げたい。その興味が強かったように思います。3人の子どもが大きくなり、手が離れたこともきっかけのひとつでした。今思えば、弱い立場の人の気持ちを大切にできる母の影響もあったのでしょう。父も「やるべきことはやらないといけない」という考えを持つ人でした。育った環境や思いが背中を押し、平成13(2001)年から生駒市北地区の自治会の役員として関わることになったのです。


《写真左》父と東大寺大仏殿前の鏡池のほとりにて(小学生の頃の藤堂さん)《写真右》生駒市で集めた義援金を届けるために陸前高田市へ



 自治会の活動内容は防災、掃除、お祭りなど多岐に渡ります。活動でのやりがいは、地域における問題点を自分たちで考え、改善策を自分たちで進めていくというフレキシブルな部分にあります。生駒市北地区では自治会の皆さんとともに、これまでなかった自主防災会を立ち上げ、平成23(2011)年の東日本大震災が起きた時には生駒市内で義援金を募り、同年6月に約1100万円もの義援金を陸前高田市、気仙沼市、山元町に届けさせていただきました。
 被災地で悲惨な状況を目の当たりにし、あらためて地域の力の重要さを実感。戻ってきてからはより防災に取り組む活動を進めていきました。このように地域のたくさんの方と関わることで、自分にはない新しい視点や考えを知り、刺激を得て、多様性を認めることの大切さを学ばせていただいたのです。
 平成16(2004)年からは保護司としての役目もいただきました。保護司は法務大臣から委嘱を受けた非常勤の一般職国家公務員で、犯罪や非行に陥った人の更生を支えることを任務としています。
 きっかけは自治連合会の仲間からの誘いでした。本来なら「自分にそのような役目ができるだろうか」と不安になるところですが、私は常に「できるかできないかは、やってみないと分からない」という考えを持っており、引き受けることにしました。
 保護司としては、相手があることなので思い通りにいかないこともありました。更生に向けて相手と接するのですが、残念ながら再犯に至ってしまう方もいらっしゃいました。それでもいつかは「更生してくれる」と強く願い、今でもその役目を務めさせていただいています。
 一番の思い出は保護観察が終わった時に「これからもがんばるわ」と笑顔で声をかけてくれた方がいたことです。その時のうれしい気持ちは今だに忘れられず、今でも私の励みとなっています。
 私が暮らす地域において、現在、少子高齢化という問題を抱えています。昔は学年ごとに3クラスあった小学校も今では1クラスになってしまいました。高齢者の一人暮らしも少なくありません。
 それらの問題を解決するためにはどうすれば良いか。いまだ、決め手となる解決の糸口は見えていませんが、自治体や公共機関、地域の方々が地域の情報を共有し、それぞれがそれぞれの立場で支えあっていくことが大切なのではないかと思います。
 個人情報などの難しい問題はありますが、やはり「人」が「人」を支えるということ以外に手はないでしょう。あと、若い方の地域活動への参加も必須だと思います。地域の問題は山積みですが、もしこれからも私に何かできることがあるなら、まだまだ尽力したいという考えです。そして、地域に住む方々それぞれがそれぞれの多様性を認め合い、豊かな心が育つ地域になればと心から望むのです。

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