地元奈良で活動するシンガーソングライター
「音楽通じ、ふるさとに恩返しを」
(取材日:平成30年2月)
中学、高校の青春時代を奈良で過ごしたシンガーソングライターで俳優の大垣知哉さん(写真左)が、奈良にゆかりのある伝統を継ぐ人や一流のエンターテイナーたちと、奈良への思いを中心に対談します。
シンガーソングライター・ピアニスト 氷置 晋さん
奈良市を活動拠点に商店街とのタイアップや、ゆるキャラのプロデュースなど地域に根ざした活動を行うシンガーソングライターでピアニストの氷置晋さん(28)は、「音楽を通じて奈良というふるさとに恩返しできるアーティストになりたい」と語る。5月27日に奈良市の100年会館でコンサートを予定している氷置さんは、3部構成にしたコンサートへの意気込みや見所、奈良への思いについて大垣知哉さんと対談した。
大垣 シンガーソングライターとして活躍している氷置くんですが、中学時代はバレエ漬けの毎日だったそうですね。バレエを始めたきっかけ、またそこから音楽につながるいきさつを教えてください。
氷置 バレエを始めたきっかけはピアノなんです。小学1年の時に各教室にピアノが置いてあり、休み時間に女の子が弾いているのを聞いて楽しそうと感じ、見よう見まねで弾くようになりました。そこから先生に習い始めるんですが、耳で聞いて自由に弾くのが好きで、楽譜を見てきっちり弾くというのが得意じゃなかったんです。でも子どもながらに将来ピアノで食べていきたいという気持ちがあったんです。
そんな時に、妹がバレエを始めたんですが、そこの先生にバレエピアニストというものがあると聞きました。女の子がレッスンしているのに合わせて、わりと自由に弾くというもので、これは自分に合ってるんじゃないかなと思いました。
そこでバレエピアニストのことを勉強しようとバレエの練習に見学に行ったのがきっかけで、そのままバレエにはまってしまいました。
お正月以外はバレエ漬けの毎日で、先生たちが帰ってからも居残りレッスンを夜遅くまでやってました。そして、バレエでの自分の限界も知り燃え尽きた、そんな時に友達に軽音部へ誘われて、音楽に再び戻って行きました。
大垣 やり始めると、ま っすぐ熱中する性格なんで すね。5月のコンサートの話になりますが、今回3部構成にした理由を聞かせてください。
氷置 メリハリをつけたかったのが一番の理由です。1部では自分のスタイルの弾き語りを披露し、ピアノを弾きながら歌ういつもの氷置晋をお見せします。
そして2部はバレエになります。ゲストでお呼びしているうちの一人の京谷さんは、僕が通っていたスタジオの同じ第一期生なんです。京谷さんも奈良出身で、今はチェコの劇場で主役を踊っています。今回は、僕がピアノで作った曲を演奏して、踊りは京谷さんら自身で振り付けをしていただいたものを披露します。
大垣 氷置くんだからこそできる演出ですね。そして1部ではピアノの弾き語り、3部ではハンドマイクで歌うということですが、その違いについて教えてください。
氷置 弾き語りは弾き語りの良さがあります。しかし、素晴らしい演奏家にサポートしてもらい、自分が歌だけに専念した時の歌は、弾きながらでは絶対に出せないもので、それを100年会館の舞台で、みんなに感じてもらいたいと思っています。
大垣 なるほど。演奏と共にある氷置晋と、シンガーとして歌に全てをかけた氷置晋の違いが見れるわけですね。最後に、PVなどでよく奈良公園で撮影されてますが思い入れがある場所はありますか。また、奈良への思いを聞かせてください。
氷置 思い入れがある場所は飛火野ですね。中学校には軽音楽部がなかったので、放課後に友達とギターをかつぎ練習をしていた場所なんです。
今後は、音楽を通じて奈良というふるさとに恩返しがしたいと考えています。そんなアーティストになっていきたいです。子どもの時はやんちゃで、色んな人に迷惑をかけていたんですが、2年前に活動拠点を東京から奈良に変え帰ってきた時にすごく優しくしてくれたんです。
今、僕を支えてくれてる人たち、子どものころ怒ってくれた人たち、そういう人たちのそばで喜んでくれることをしていきたい。それが僕なりのふるさとへの恩返しだと思っています。
ひおき・しん 1989年5月9日生まれ、28歳。奈良市出身。奈良市観光大使。10歳でバレエと出会い、バレエ漬けの中学時代を過ごす。高校時代より音楽活動を開始。フィリピンでのオーケストラツアーや日本一周の路上ライブツアーなどを経て、2016年から生まれ故郷の奈良市に拠点を移す。 URL:http://shinhioki.com/