天河大辨財天社の奉納ライブで共演
透明な心で聖地へ
(取材日:平成28年7月)
中学、高校の青春時代を奈良で過ごしたシンガーソングライターで俳優の大垣知哉さん(写真右)が、奈良にゆかりのある伝統を継ぐ人や一流のエンターテイナーたちと、奈良への思いを中心に対談します。
尺八演奏家 松本 太郎さん
ロックやジャズをはじめ、さまざまな音楽とのコラボ経験があり、古典本曲の研究をライフワークにする奈良市の尺八演奏家・松本太郎さんと大垣知哉さんは8月5日、日本三大弁財天に数えられ、芸能の神様と信仰を集める天河大辨財天社(天川村)で奉納ライブに出演する。奈良をイメージした大垣さんの曲「花となれ」でコラボした2人が〝聖地〟での奉納演奏を前に、心境や挑戦したいことについて互いに語り合った。
大垣 今まで多くの奉納演奏のご経験がある松本さんですが、奉納演奏というのは、いつもと心持ちが違ったりしますか。
松本 以前組んでいたバンド「沙弥音」では、毎月満月の夜に新薬師寺の奉納演奏を6年間、計50回以上やらせていただきました。今も毎年氷室神社での演奏をさせていただいてます。
神仏や、例えばこの世に肉体のない亡くなった方を前にして演奏をするということについては、より心を透明にして挑もうとしていますね。
生きている人の前での演奏は「より良く演奏を聞かそう」と、どうしてもテクニカルな部分に意識が行きがちになるんですが、古典を勉強すればするほど、音楽はそもそも祭祀(さいし)としての意味合いがあると気付きました。
音楽は神仏の世界と現世、それをつなぐコミュニケーションのツールだと思います。そういった意味で奉納演奏は、テクニックの誘惑にとらわれるのではなく、透明な心が必要なのではないかと思いますね。
ご先祖や霊界と現界のバランスが均衡になる音楽を目指したい―。こういう気持ちになれたのは、奈良で活動をさせていただいているからこそ、気付かされたものだと思います。
大垣 今回、全国的に活躍されているドラマーの平井景さんとのご縁で、天河大辨財天社での奉納ライブが実現します。平井さん率いる今回限りの特別ユニット&平井さんのプロデュースライブなので、ワクワクします。
僕は、自分のオリジナル曲「花となれ」を歌えたら、どんなにいいだろう?と想像していますが、先生はいかがですか?
松本 個人的に吉野がすごく好きなんですよ。その上、天河神社で演奏できる、このご縁とお話が、とてもうれしかったです。
平井さんは、どんなプロデュースをされるんでしょうね?尺八のたっぷりした音色が生きるようなゆっくりなテンポの曲、または激しい曲、いずれも楽しみです。コラボ演奏では、正確なオブリガード(助奏)を考えて、もう1㍉、あと2㍉と、職人としての作り込みをしていきたいと思います。
尺八の古典本曲の研究をしていると、はまる音って絶対にわかるんですよ。常に、正しい点を探すことを大切にしています。
大垣 天河大辨財天社は、「縁がなければたどり着けない」と、いわれがある神秘的な神社です。8月5日の奉納ライブ当日が待ち遠しいです。ライブは無料で見られるそうなので、ぜひ、この機会に大勢の人たちに来ていただければうれしいですね。
※天河大辨財天社の奉納ライブの詳細は、平井景HP(http://www.kayhirai.
com)または大垣知哉のHPでご確認いただけます。
まつもと・たろう 大阪生まれ奈良育ち。グリフィス大学に在学中、偶然耳にした海童道祖の録音に感銘を受け、尺八演奏家を志す。2004年に初リサイタル。韓国、カナダ、スイス、フランス、スェーデンなど国内外で、多彩な活動を続けている。氷室神社の桜花祭では毎年、奉納演奏をしている。 URL:http://tarou.yamagomori.com 【撮影場所】奈良春日野国際フォーラム 甍 ~I・RA・KA~ 住所:奈良県奈良市春日野町101
電話:0742-27-2630
開館時間:9:00~21:30
休 館 日:毎週月曜日、年末年始(12月28日から1月4日) ※月曜日が休日の場合はその翌日
URL:http://www.i-ra-ka.jp