【ちょっとMITEYO!】
「栗饅頭」
奈良をこよなく愛するコラムニストMが、奈良の「深~い魅力」を読者にお伝えしようと東奔西走する企画「ちょっとMITEYO!」。和菓子や伝統工芸、職人さんを訪ね歩きます。

「どっこいまんじゅう」
(取材日:令和元年11月)
和菓子好きが心惹かれる和菓子食材の一つにクリがあります。クリの実の甘さ、ホクホク感には、夏の終わりから秋の陽光に照り映える木々や日の匂いが詰まっているようで郷愁をそそります。
万葉集の山上憶良(やまのうえのおくら)の歌に「瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば まして偲はゆ いづくより 来りしものそ 眼交に もとなかかりて 安眠し寝さぬ」という有名な一首があります。
筑前国守時代に、お菓子としてクリが食され子どもたちの好物だったことが思い浮かばれますね。クリは、日本のふるさとの味といってもよいでしょう。
「杣づと」で有名な西善さん(本店=吉野郡東吉野村、☎0746―42―0061)、たくさんあるクリの和菓子からどれを頂いてもびっくりするほどおいしいのですが、中でも「栗きんとん」「栗饅頭」は絶品中の絶品で人気の商品です。どちらも手剥きした地元・吉野産と熊本県産の新栗を惜しげなく使っておられます。
残念ながら「栗きんとん」はすでに今期の販売分が終了となっていましましたが、じっくりと蜜づけしたクリを使い、こだわりの白餡を卵たっぷりの生地で、一つずつ手包みして焼き上げた「栗饅頭」は、あと少しの間販売されています。
クリの味を殺さぬ絶妙な甘味と手間隙、愛情を込めた職人さんの繊細な味に感動します。
(コラムニストM)
西善 住所:吉野郡東吉野村
電話:0746―42―0061
URL:http://www.shokokai.or.jp/29/294531Sq850/