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月ケ瀬にビニールハウス、叔父と手探り奈良でマンゴーの生産に成功

キンキ・パートナーズ株式会社代表取締役 有馬憲治さん(写真左)

(取材日:令和2年9月)

 木質資材リサイクルなどを手掛ける奈良市奈良阪町のキンキ・パートナーズ株式会社(有馬憲治・代表取締役)は、今年8月に迎えた創立50周年の記念品として、沖縄や九州をはじめ温暖な地域で獲れるマンゴーの栽培に挑戦し、このほど収穫にこぎつけた。同市月ケ瀬でビニールハウスをこしらえ、手探りの中で育てたマンゴーは糖度18のものも。取引先や地域に配り、喜んでもらいたいと話す。


 昭和45(1970)年8月15日に創業した同社は現在、木材パレットなどの木質資材やOA機器のリサイクル、運輸事業などに取り組んでいる。昨年、四国の取引先から紹介を受けたマンゴーの木を譲り受け、50周年の記念品として栽培にチャレンジすることに。
 毎日、自社の4㌧トラックで奈良―四国を往復し、樹齢5年から10年のマンゴーの木76株を奈良市月ケ瀬の栽培予定地に運んだ。有馬社長も「2日に1回、四国に行き、マンゴーの木を奈良まで運びました」と振り返る。
 月ケ瀬地域の冬場は厳しい寒さ。気温が5度を下回るとマンゴーの木が枯れるため、昨年9月にビニールハウスを建設。建設を担当した業者からは「奈良でマンゴーの栽培は聞いたことがない」と言われたが、この中でマンゴーを栽培していくことにし、リサイクル事業で出る木などを使う「薪ボイラー」でハウス内を温め温度を管理した。
 マンゴー栽培の中心は有馬社長の叔父の有馬利治さん(67)=写真右=が担当。ハウス内でマンゴーを受粉させるには、ハエを用いる。今年1月にはウジを購入して成虫にさせ、3月~4月に〝働いてもらい〟無事受粉。摘果して残した実が熟して落下しないよう、実のある枝を天井からワイヤで1個ずつ吊るした。また太陽光が不足しないよう実の下に光を反射させる目的のトレーも手作業で取り付け、手塩に掛けて育てた。
 猛暑の夏を迎え、ハウス内は気温47度にも上る中、水やりや日々のチェックを欠かさず迎えた収穫の時―。計2000個が鈴なりになった。収穫して専用の糖度計で測ると平均して糖度は15。中には18のものもあった。取引先や社員、地域の人で試食すると皆「甘い」「おいしい」と口をそろえた。
 栽培に尽力した利治さんは「奈良でのマンゴー栽培は初めてと聞き、手探りの中の栽培で心配もあったが無事実ってくれたことがうれしい」と、鈴なりの木に目を細める。
 有馬社長は「リサイクルの事業は潰すことが多い。作り、育てるチャレンジができて、50周年の記念になったことがうれしい」と語る。収穫したマンゴーは販売の予定はないが、取引先のほか、同社の近所の小学校など地域で分け合い、笑顔を届けている。


ありま・けんじ
 奈良市で木質資材リサイクルなどを手掛けるキンキ・パートナーズ株式会社の代表取締役。昭和45(1970)年に創業し、昨年50周年記念としてマンゴーの木を譲り受けたことから栽培に挑戦する。前例の無い奈良での栽培に、リサイクル事業で出る木などを使った「薪ボイラー」でビニールハウス内を温めるなど叔父の利治さんと手探りで栽培を行い、収穫にこぎつけた。

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