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奈良でブドウ栽培から醸造販売 「純奈良県産」のワインを

げんきカレー店長 齊藤 樹さん

(取材日:令和2年2月)

 地元奈良でブドウ栽培から醸造販売まで一貫して行う「純奈良県産ワイン」を作りたいと、木谷一登さん(30)は、勤めていた銀行を退職し、2018(平成30)年に起業した。奈良らしいワイン作りに試行錯誤を重ねながら栽培は天理市、醸造は大阪府柏原市のワイナリーで行っている。来年2021(令和3)年に奈良県内にワイナリーを開設し、その翌年から「純奈良県産ワイン」の出荷を目指したいと夢を語る。


 地元の奈良県で「純奈良県産ワイン」作りを目指す木谷さんは、大阪府柏原市の「カタシモワイナリー」で2年間、ワイン作りの修行を経て、2018(平成30)年に起業した。それまでは大学で糖尿病について学び、卒業後は銀行に勤めワイン作りとは遠い道を進んでいた。
 起業しようと考えたのは、働いていた銀行の取引先に「カタシモワイナリー」があり、個人的に見学する機会があったことから。「もともとワインを飲むのが好きでした。見学に行きワインが日本で、しかもこんな身近で作られていたことを知りました。そこから自分で色々と調べるようになり、個人で起業してワインを作っている人がいることを知りました。またワイン作りが自分に合っていて、一生続けられるものだと感じたんです」と木谷さんは振り返る。
 木谷さんは、天理市内に畑を借り、3年前からワイン用のブドウの栽培を行っている。もともとブドウが作られていた場所だったが、約30年放置された状態になっていたため、自分の手で約2年の歳月をかけて整備しながら苗木を植えていった。
 栽培から醸造を自身で一貫して行った初めてのワインが完成したのは2017(平成29)年。その時には大阪の畑で栽培したブドウを使用した。昨年から奈良で自身が栽培したブドウも使用しているが「畑を整備しながらの栽培で剪定するのが予定よりも遅くなり、糖度を上げきることができなかった」と木谷さんは言い、芽の出る前の剪定から手掛けて栽培したブドウでワインを作るのは、今年末の製造販売を予定しているワインが初になる。
 「去年は100%のブドウが作れる状態ではなかったこともあり、自分が作るブドウでどんな味のワインができるかは、まだ未知数。他で作られている西日本のワインの傾向として、酸味がおだやかで親しみやすいものになると思う」と木谷さんは話す。
 続けて「ワインはブドウの質が命で、自分の選択がその年の味になる。まだまだ試行錯誤している状態。自分は房の間引きを行う『摘房』という作業をかなりこまめにしてます。そこを適切なタイミングでできるように常に畑を見て回っています。また30年放置されていた畑なので、その間に腐葉土の層ができミミズや微生物が増えて生き物のバランスがとれています。科学肥料、農薬、除草剤を使わないことでそのバランスを保つことが良質なワインになると考えています」と言う。
 現在、木谷さんは大阪のワイナリーでワインの醸造を行っているが、来年の2021(令和3)年11月に奈良県内でワイナリーを開設し、2022(令和4)年からブドウ栽培からワインの生産販売を一貫して奈良で行う「純奈良産ワイン」の出荷を目指している。
 今後は自分の取り組みを通して「奈良の魅力を上げる新しいコンテンツの一つになり、農業を盛り上げることで農作放棄地を減らすきっかけになれば。ゆくゆくは奈良でワインを作りたいという人を育てていけるようになりたい」と木谷さんは語る。


きたに・かずと
989(平成元)年生まれ。香芝市出身。畝傍高校卒業後は京都大学大学院で糖尿病について学ぶ。その後、営業のスキルを身に付けようと銀行に就職するが、自分に合ってないと感じる日々を過ごしていた。そんな時に取引先のカタシモワイナリーの見学をきっかけに、ワイン作りへの道へと進む。カタシモワイナリーで2年の修行を経て、2018(平成30)年に起業。翌年に開催された「ビジコンNARA2019」で最高の「知事賞」を受賞した。奈良でブドウ栽培をしながら、来年設立予定の県初のワイナリーで「純奈良県産ワイン」作りを目指す。
 URL:https://narawine.com

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