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【私を支える魔法の言葉】
ココロに花を

シンガーソングライターの大垣知哉が「今、会いたい輝く女性」を取材し、人生の支えになった大切な言葉とストーリーを綴る「魔法の言葉」を連載。

イラストレーター ココトソコノ制作室代表 上村 恭子さん

(取材日:令和2年1月)

うえむら・やすこ 昭和52(1977)年、奈良県生まれ。下北山村在住。奈良芸術短期大学日 本画科卒。墨筆のタッチを生かし、古事記・日本書紀や奈良時代にまつわるイ ラストを中心に制作している。奈良県発行『古事記かるた』の絵札イラストや 同発行の記紀万葉プロジェクトによる古事記、日本書紀ガイドブックの挿絵、動画アニメーションイラスト挿絵担当書籍に『天皇になった皇女たち(生駒あさみ著:淡交社)』などがある。


ココロに花を=心に希望を持ち続けさえいれば、やがて夢が花ひらく


 さまざまな色を手繰り寄せ、しなやかな線を引く。ただ「描きたい」という想いを筆に乗せて―。 子どもの頃からずっと絵を描くのが好きでした。描くのはいつも絵本のお姫さまや漫画のヒロインばかり。女性の横顔や姿を描くのが好きでした。その頃は「上手だね」と褒められることが、ただただうれしくてずっと絵を描いてました。 おのずと夢は「絵を描く人」になり、 高校は橿原学院の美術科に入学。同じ夢を持つ仲間たちと出会い、夢に向かっ て切磋琢磨できる、かけがえのない時間を過ごしました。

《写真左》下北山をモチーフにしたイラスト。上村さんが作成したLINEスタンプ『奈良下北山村おおきんのぉ~スタンプ』も人気急上昇中《写真右》上村さんがイラストを担当した『万葉集カレンダー2020』。「フルコト」と「ことのまあかり」で絶賛販売中


 専攻はデザイン。当時はデジタル化があまり進んでおらず、デザイン画を作るには1~2㍉ほどのズレも許されないほどの大変な作業でした。「やっぱり絵が描きたい」。徐々にそんな思いが頭をもたげるように。大学では日本画を専攻し、日本画ならではの繊細な線や空間の描写はとても勉強になりました。私が今、イラストを描くときに大切にしている「線」と「色」はこれらの経験がつながっているのだと思います。 卒業後は夢を抱えながらも、一歩を踏み出せずにいる日々でした。しかし、ある日大きな転機を迎えました。三条通りにあるうどん店でアルバイトをしていたときのこと。店主からメニューの絵を頼まれ、喜んで描かせていただきました。 店の壁いっぱいに描きました。するとそれが、ある一人の女性の目に留まり、そこから東大寺転害門の近くの「フルコト」という雑貨屋に仲間として加わる事に。そうして、ライターの生駒あさみさんとのご縁がつながりました。 生駒さんは 奈良の歴史への造詣が深く、奈良に関する書籍や雑誌など、さまざまな制作物をプロデュースされていて、その度に仕事をご一緒させていただきました。奈良時代に生きる皇女の書籍や万葉歌カレンダーもその1つです。 彼女に奈良時代に生きた女性たちの生き様などを聞いて、描かせていただくたびに、自分の作風にしっくり来たというか、まるでライフワークのように思えてくるほどでした。その後、徐々に依頼が増え、仕事の受け皿として合同会社ココトソコノ制作室を設立しました。 会社の設立と前後して下北山村に住まいを移しました。きっかけは、同村出身の夫が地元で家業を手伝うことになったからです。覚悟していたにもかかわらず、移り住んだ当初はその田舎度合いに驚きを隠せませんでした。 なにせ奈良市内から車で3時間もかかる地。しかも私は普通自動車免許を持っていない。どうしよう…。なんて不安に思ったのは実は最初の頃だけで、住むとその良さが見えてくるもの。 下北山村の皆さんはとても優しいんです。生活だけでなく、交通の便も支えてくださいます。最近では若い方たちの移住者も少しずつ増えて、環境が変わりつつあるのを感じます。私の仕事はどこでもできるので、ある意味、制作には適した環境だと思っています。 かつて住んでいた奈良市内には〝歴史〟の足跡が建造物や造形物などの形となって残っていました。しかし、下北山村になるとほとんど伝承が主になります。せっかくこの地に来たのだから、私の絵を通して、伝承を形として残していけたらなと、最近はそんなふうに思うようになってきました。 いつだって叶えたい夢はひとつの出会いで、まるで花のように パッと開きます。そのためには「好き」という思いを、いつでもブレずに心の中で蕾のごとく持ち続ける必要があります。私もそうして今まで色々な出会いがあってここまでやってこれたのだと思います。 そして、これからも奈良市からここ下北山村まで、奈良県全てに想いを馳せて、新たな夢を花咲かせるため、日々を暮らして行けたらなと思っています。 


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