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奉納舞やミス日本酒など幅広く活躍
「同世代に日本舞踊の良さ伝えたい」

(取材日:平成29年11月)

 中学、高校の青春時代を奈良で過ごしたシンガーソングライターで俳優の大垣知哉さん(写真左)が、奈良にゆかりのある伝統を継ぐ人や一流のエンターテイナーたちと、奈良への思いを中心に対談します。

舞踊家 山村 若瑞さん

 ミス日本酒の奈良代表で、日本舞踊上方舞の一流派「山村流」四世直門師匠名取の山村若女(わかめ)さんを母親に持つ若瑞(わかみずき)さん(27)は、幼少から母の薫陶を受け3歳で初舞台に立った。若瑞さんと、大垣知哉さんが対談し、若瑞さんは「日本舞踊を同年代の若い人に楽しんでもらう新しい工夫と、その一方で先人達から受け継がれてきた伝統の『型』と『品』を守りたい。古いものから感じる新しさを伝えていきたい」と、今後の展望を語った。


大垣 若瑞さんは人前で舞う他に、多くの奉納舞をされていますが、人前と神前ではそれぞれ気持ちが違いますか。


若瑞 そうですね。舞踊家なので基本的には人前に立って、お客さまを相手にして舞うというのがベースで、小さい時からそういう稽古をしてきました。人前で舞う時は「お客さまに良かったと思ってもらおう」と考えますし、またそうしなければいけません。
 しかし、神様の前ではそういう思いを見透かされているという感覚になります。そうなると自分自身の今の実力をさらけ出す状態になり、奉納舞をする時は自分自身を見つめなおす機会を与えてもらっています。目に見えない神仏を前にすると普段の舞台とは違った、非常に真摯な気持ちなります。


大垣 今の自分の現状を知る1つのきっかけになるのですね。伝統を脈々と継いでいくことに対して何か感じることはありますでしょうか。


若瑞 ありがたいことだとはすごく思います。恵まれている環境ですし、その分凄く責任を感じます。


大垣 今後、伝統ある舞を続けていく中で、こういう風にしていきたい、また違ったものとして表現したいということはありますか。


若瑞 新しいことはしないといけないと思いますが、私はまだまだ上方舞というものの本質と型を理解し、それを身に付けていかなければならない段階だと思っています。本当に理解してからでないと、それは新しいものではなく違うものになってしまいます。
 ですが、今のお客さまは私よりも年齢が上の方々になってきています。「日本舞踊は敷居が高い」と言う自分と同年代の方にも楽しんでもらえるような、そんな演出の仕方やきっかけ作りをしていかなければいけないと感じています。 
 敷居というのはある程度は必要です。というよりは、あると思います。普段味わえない非日常的な特別感を体験してこそ得られる満足感も大事にしたいと思っています。そこに行けたという満足感も大事なので、そのバランスが難しいですが、見出したいと思っています。
 大学生の時にある大学の教授から「古いことをあなたはしてると思っているかも知れないが、実はとても最新のことをしている」と言われたんです。私たち平成生まれの世代からすると西洋文化が基本ベースになってるので、伝統文化は古いというよりは逆にすごい新しい、新鮮なものだと考えるようになりました。


大垣 若瑞さんは「ミス日本酒」に参加し見事、奈良代表にも選ばれましたが、それも自分ができるアプローチの1つだとの考えですか。


若瑞 自分の生活リズムは一緒で関わる人も同じなので、違う人にアプローチをできないかなと知り合いに相談したところ、教えてもらったのが「ミス日本酒」の話なんです。
 ただのミスコンではなくて日本の文化を発信していく女性を探しているコンテストだったので趣旨にも合うと考えました。それを母に相談すると「できることは何でもしてみたらいい」と言ってもらえたので参加しました。
 若いうちに違うジャンルの人たちのところへどんどん飛び込んで、感性を磨き色んなことに挑戦していきたいです。まだまだ勉強することは沢山あります。


やまむら・わかみずき
 1990年生まれ。幼少のころから母・山村若女の薫陶を受け、3歳で初舞台に立つ。15歳で六世宗家直門の名取になる。日伊国交150周年記念に在イタリア大使館の招待を受けローマにて舞を披露。その他にも神社仏閣で奉納舞を披露している。「第50回なにわ芸術祭新進舞踊家競演会新人奨励賞」や「2016ミス日本酒奈良代表・地域貢献賞」の受賞経歴を持つ。
URL:https://ameblo.jp/wakamizuki/

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