【ちょっとMITEYO!】
生駒・幾世屋
奈良をこよなく愛するコラムニストMが、奈良の「深~い魅力」を読者にお伝えしようと東奔西走する企画「ちょっとMITEYO!」。和菓子や伝統工芸、職人さんを訪ね歩きます。
幾世屋
(取材日:平成30年6月)
和菓子の中には、素材の入手が困難になり、元来の姿が様変わりしてしまったものがたくさんあります。 涼を誘う『わらび餅』もその一つでしょう。
原料は、ワラビ根からごく少量取れるわらび粉。しかし、現在、製造している所が殆どないため、ビックリするお値段! 高級和菓子屋のわらび餅でさえ、気持ち程度しか本わらび粉を、配合できません。
本わらび粉で作ったわらび餅は、私たちが知っているきな粉砂糖がまぶしてある透明な和菓子ではなく、黒っぽく、テカっています。日持ちせず、冷やすと固まる性質があるので、キンキンに冷やして食べるなどもったいない。一口ほおばるとプルンとした舌触り。その後、もっちりした食感が口の中に広がり、喉をスーっと、上品に通っていきます。最後に香ばしいきな粉の香りが鼻を抜けます。
そんな古雅なわらび餅を食べられるお店が奈良にもあります。生駒駅すぐ近く、創業97年の「幾世屋」(生駒市元町1丁目10―9)。わらび餅一つに、老舗を継ぐ覚悟と、本物を伝承しようと努力する店主の思いが伝わってきます。
「幾世屋」の黒く光るわらび餅は、国産の本わらび粉をふんだんに使っている証です。お砂糖は、ミネラルたっぶり、喜界島産のザラメを使うこだわりよう。わざわざ食べに行く価値はありますよ。
(コラムニストM)
幾世屋 住所:奈良県生駒市元町1丁目10−9
電話:0743-73-2249