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奈良の生活に溶け込み 感動共有できる存在へ

バンビシャス奈良 代表取締役 加藤 真治さん

(取材日:平成30年9月)

 奈良県初のプロスポーツ球団として誕生したバンビシャス奈良が、9月29日から開幕する男子プロバスケットボールリーグのBリーグに参戦し、創設6年目のシーズンを戦う。チームを率いるバンビシャス奈良の加藤真治社長は、メガバンク勤務を辞め、プロスポーツチームの運営に飛び込んだ経歴を持つ。自身を突き動かしたのはスポーツが持つ感動―。「チームが奈良の方々の生活に溶け込み、感動を共有できる存在になっていきたい」と挑戦を続ける。


 兄の影響で中学からバスケに汗を流した。卒業アルバムに同級生が将来の夢を「プロ野球選手」と書いても「バスケ選手」と書くのは違和感を感じていた。「選手は誰でもできそうで職業ではない。『プロ』の二文字に大きな差があるな」と。「バスケは学生の間にやるもの。普通にサラリーマンをやる」と考えていた。
 京都大学大学院を卒業後、メガバンクに就職。誰もが認めるエリートコース。2年後、銀行が保有するさまざまな債権を組み合わせ、投資家に売る新設部署への配属になった。「仕事は楽しかったですね。何か社内ベンチャーのような感じで、やりがいがあった」と振り返る。
 順風満帆に見えた加藤さんの社会人生活、大学から交流のある仲間とバスケの定期戦を行うなど、プライベートも充実していた。その仲間の一人から「バスケのプロ化の話がある、今度東京行くから話しよ」と相談を受けた。「これを聞いてしまったのがきっかけでしたね。当時の職業柄、興味本位で聞いていると、いつの間にか勉強会に参加していました」と笑う。
 その仲間と仙台でチームの立ち上げに参加しようと決める。「親を説得できたら会社を辞めよう」としたが「親は『何を言っているんだ。息子の様子がおかしい』と感じていたと思います。何度か頑張りましたが、もういいや。やる!と走り出しました」
 加藤さんが立ち上げに参加した仙台では、野球、サッカーのプロスポーツに続いてバスケのチームが誕生。各スポーツのプロチームがあるまちは日本全国に東京、大阪、愛知を除く政令指定都市では初めてのことで「プロスポーツのまち仙台」は、仙台市民の誇りになった。
 この市民の誇りや自慢を「ふるさと奈良でも作れたらいいな」との思いが募った。会社員時代から商談の場などで自己紹介する際「奈良出身」と言うと、大仏と鹿以外を話題にされなかった。思いが募ると行動に出る。スポンサーや協力者集めのため仙台―奈良を往復。さらに奈良でプロバスケチーム作りに取り組んでいた仲間と合流し、奈良初のプロスポーツチームを誕生させた。
 誕生6年目のシーズンが今月末から始まる。「奈良県民の方々にプロチームがあってよかったなと思ってもらえる存在になりたい。勝ってみんなで喜んだり、感情移入をしてもらえたり、『共鳴』をキーワードに挑戦を続けていきます」と力を込める。

かとう・しんじ 
 平成9(1997)年、京都大学大学院工学研究科数理工学専攻修了後、住友銀行(現・三井住友銀行)に入社。同17(2005)年に退社し、仙台スポーツリンク(仙台89ERSの運営会社)取締役に就任する。奈良の人が奈良のことで盛り上がれるプロスポーツクラブをとの思いから同23(2011)年に「奈良にプロバスケットボールチームをつくる会」発足。翌年にbjリーグ(現・Bリーグ)参入が決定し、バンビシャス奈良の代表取締役に就任する。

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