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ソムリエ日本一に輝く 野菜の伝道師 子どもの食育に尽力

野菜ソムリエ上級プロ 関 宏美さん

(取材日:平成30年8月)

 野菜ソムリエ上級プロ資格を持つ奈良市の関宏美さんが今年「野菜ソムリエアワード」で優勝し全国6万人の野菜ソムリエの頂点に輝いた。関さんは子どもたちへ食育の読み聞かせや、テレビ番組のレギュラー出演をはじめ多忙な中、県内外の生産者の元へ足を運ぶ取材活動を続けている。「全国のソムリエの仲間と共に、それぞれの地域の素晴らしさを多くの人に伝えていきたい」と、野菜の探求のため、東奔西走の日々を送っている。


 18年ほど前、大学院生だった関さんは、母が皮膚疾患になったことを機に、東京へ通いながらメークの技法を学んだ。「母の笑顔を取り戻したい」その一心で懸命に学んだ。
この技術を使って何か人の役に立ちたい。そう思い、老人ホームなど福祉施設を訪問し、メークを施すボランティアを始めた。シミややけどの跡、これらをメークの力で美しくし、外からも内からも奇麗になってもらいたかった。
 出会った100歳近いおばあさんにメークを施すと、見る見る笑顔が増え輝いて見えた。元気でいる秘訣を尋ねると「よく寝ることと、旬のものを食べることやわ」と教わった。知恵袋のような教えに、衝撃を受け、野菜ソムリエを志した。
 ソムリエ資格を取得してからは、何千人にも野菜の素晴らしさや知識、食育などについて伝えてきたが、娘を授かり、母になってから我が子の野菜嫌いが発覚。警戒心が強く、口を開こうともしない。これまで歩んできた道のりへの自信を無くした―。
 「まさか私の娘がと悩みました。これまで私がやってきたことは机上の空論だったのかと。『一口目の壁』を取り除くために、野菜そのものを〝お友達〟と感じてもらえるのが大切 と考えるようになりました」と振り返る。
 子どもが野菜に興味を持ってくれるよう、それぞれの野菜のエピソードやストーリーを音楽を通して触れることができるように工夫した。また自身が制作した絵本も出版。
「娘から教わったこと」を多くの子どもたちにも伝えられるよう、保育園などを訪れ、読み聞かせに力を入れた。
 野菜×絵本×音楽。この新たな独自の食育活動が認められ、今年の「野菜ソムリエアワード」で優勝。「ここで日本各地の思いを持った仲間に出会いました。今後は仲間の輪を広げ、日本の季節、野菜、旬、ひいては食文化そのものを世界に発信していきたいと思います」と目標を新たにする。
 野菜の伝道師としてメディア出演など多忙な日々を送る中、現場へ足を運ぶことを怠らない。撮影日は田原本町の生産者、吉原昇さん宅でキウイ、イチジクを取材し、きょうも土から学びを得る。

せき・ひろみ
立命館大学大学院修士課程卒業。株式会社S-tage代表取締役。野菜ソムリエ上級プロ、初代アボカド親善大使、薬膳アドバイザー。著書に365日「蒸し野菜生活」健康法(講談社+α新書)、神様の木の実(大和政経通信社)。毎週日曜午前11時40分から毎日放送の番組dai-docoro☆ベジタに出演中。

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