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奈良新名物 日常に溶け込むかき氷

ほうせき箱代表 ヒライ ソウスケさん

(取材日:平成30年4月)

 都市圏を中心に全国的な広がりを見せる 「かき氷ブーム」。関西エリア の火付け役の一人で、イベント「ひむろしらゆき祭」を手掛けるヒライソウスケさんは「長きにわたって奈良の飲食というのは『うまいもんがない』と言われる屈辱の歴史があった。かき氷には、奈良のポピュラーな名物として定着する期待感をはじめ、たくさんの魅力がある」と語る。老若男女、季節を問わず、かき氷が多く人の日常に溶け込む可能性を、ヒライさんは追い続けている。


 ヒライさんは老舗柿の葉寿司店を営む家の生まれ。大学卒業後、東京のホテルへ就職し、その後、家業を継いで約20年間、「奈良の食」について向き合ってきた。
 志賀直哉の随筆「奈良」にある「食ひものはうまい物のない所だ」が一人歩きし、ヒライさんは「長きにわたって奈良の飲食店は屈辱を受けてきた。住んでいる人でさえ『奈良にはないですわ』と自虐的な言い方をしてしまう」と語る。
 その理由の一つが「ハレの日に食べるとか非日常ではなく、庶民の日常に溶け込む名物が必要なんじゃないかって思うんですよ」と分析する。奈良市の中心市街地にはかつて「ちから」という甘味店があり、ヒライさんは幼い頃からそこのかき氷に親しんできた。


 数年前、同市の飲食店「おちゃのこ」で食べたかき氷に衝撃を受けた。手作りのシロップや、季節を問わず、東京からわざわざかき氷を食べに来るファンを目の当たりにして「この食べ物はすごいな」と感じた。
 直感が沸いた。奈良には氷にちなむ氷室神社があり、仲間と共に神社を訪ねた。その3カ月後の平成26年の8月。第一回「ひむろしらゆき祭」を開催。多くのファンの来場があり、話題になった。その翌年には「かき氷マップ」が制作され、同祭は2日間で1万人を集客するほどに成長。奈良は空前のかき氷ブームにある。
 ヒライさんは「今、かき氷に参入しているお店ってたくさんあるんですよ。うどん屋さん、そば屋さん、おすし屋さん、フレンチ、イタリアン、タイ料理、和菓子屋さん、ケーキ屋さん、バー…。これらのお店の方々が本来持っている素材感や技術でかき氷は多種多様に変化、進化をしていく。これがかき氷の面白さの大きな一つだろうと思います」
 加えて「各店舗で競合しないことも大きな魅力だと考えています。かき氷を提供するお店を〝はしご〟する方もたくさんいて、多種多様の奈良のお店が協力しながら盛り上げていける可能性があると思っています」とも。


 老若男女みんなに愛され、日常に溶け込むかき氷―。ヒライさんが営む奈良市餅飯殿町のかき氷専門店「ほうせき箱」には、季節を問わず連日、県内外から多くの人が整理券を握りしめ、店のドアを開ける。

ひらい・そうすけ
大学卒業後は東京のホテルに就職し、その後、家業を継ぐ。現在は奈良市でかき氷店「ほうせき箱」を営み、食材をムースよりも軽い泡のような状態に仕上げる調理法「エスプーマ」を使った独創的なかき氷を提供している。奈良にかき氷ブームを起こし盛り上げようと、その可能性を追い続けている。
ほうせき箱
住所:奈良市餅飯殿町47
営業:10:00?12:00、13:00?20:00(19:00 L.O.)売り切れ次第終了
電話:0742-93-2460
URL:https://www.facebook.com/housekibaco/

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